古いNC工作機の修理のリスクについて
茂呂製作所には様々な修理依頼が来ます。
その中にCNC機械の修理に対しての相談もあるのですが、以下の内容からお断りしてしまうことが多々あります。
そこで、その理由を事前に理解していただくことも必要だと思い、ブログに書きます。
先に結論なのですが、【修理をしても、その後の工作物に対する精度保証をするのが難しいから】お断りすることがあります。
CNC機械の修理は部品交換型の修理となるので、細心の注意を払って同じものを交換・修復するのですが、それだけでは完全に元の精度が出せる保証ができないのです。
理由①
古いNC機は最新のものと違って、主軸がユニットになっていないものがあり、しばしば周辺のパーツを多く取り外す必要があります。
さらに、製造会社が消滅して基本的な機械データや図面が入手できない場合、特に注意が必要です。
分解して不良個所を見つけ、その都度修正する必要がありますが、これにより取り外す箇所が多岐にわたるため、組み立て時に元の状態に再現するのが難しくなります。
その結果、工期が長期化する可能性が高くなります。
理由②
最重要な部品であるモーターは、精度の高いサーボモーターであることが多く、価格は非常に高価で納期も長くなります。
基本的には機械のシリアルナンバーから部品の整合性を確認しますが、取り付けて試運転を行わないと実際のところは確信できません。
もし操作側の基盤の故障が原因であった場合、よほどのことがなければ基盤の修理は行わず、部品交換修理となります。
このため、部品を探すのにさらに時間がかかることになります。
その結果、再作業が必要になった場合、見積額以上の費用が発生する可能性があります。
理由③
精度検査についても、現場の環境や状況に左右されるため、どの程度の精度が必要か曖昧になってしまいます。
余談ですが、やはり確実なのは製造メーカーに依頼することです。
「費用が高い」との声も多く聞かれますが、上記の事を考えると仕方がないと思われます。
メーカーがどうしてもダメなのであれば、CNC機械の修理を専門にされている業者さんへの依頼も、検討する余地があります。
恐らくメーカーは営業の観点から「新しいものを購入してください」と言うかもしれませんが(苦笑)
ちなみに、サーボモーターのベアリング交換ができない、しない方がいい、のは当社でも多数の経験済みです。
以上、挑戦が身上ではありますが、無謀なことはしない茂呂製作所からのお知らせでした。