モーター修理 コイルの巻替え 再利用
今回は少し古い機械についていたモーターの交換作業です。
モーターが回転しないので見てほしいという依頼でした。
早速分解して、電気テスターで調べてみると本来導通してはいけない配線間に導通がありました。
通常ショートといわれる現象です。
原因は、モーターの電磁石として動作するように巻き付けてあるコイル電線の絶縁体が、経年変化して絶縁性が低下したものと思われます。
原因がわかりましたので、修理方法を検討いたします。
方法としては【①モーターコイルの巻き替え】【②現行の市販品へ交換】のどちらかとなります。
①モーターコイルの巻き替えの方法は大型モーターではよく行います。
理由としては、モーター本体が高額なので、新品購入より修理費が安価となるためです。
しかし今回は小型モーターです。
小型モーターは大量生産されていますので比較的安価に手に入ります。
そのためコイルの巻き替え作業費のほうが高価となってしまいます。
そのことから、今回は ②現行の市販品へ交換 の方法で行います。
もともと付いていたモーターをよく確認します。
昔のモーターですので、現在のモーターと寸法が違うところがあります。
まず、モーターの取付するための脚部の寸法が違っています。
これについては、取付機械側に加工することで対応します。
また、元のモーターは通常のモータには無い加工がしてありました。
軸先端部に左ネジの加工がされています。
左ネジは通常のネジとは逆回転で固定されるもので、右回転する軸に部品を取り付ける際によく使われます。
身近な所だと、換気扇や扇風機の羽を軸に取り付ける際に使われているものをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
左ネジにする理由は、軸先端部のネジが緩むことを防ぐためです。
モーターが右回転する際、軸先端のネジが左側に回る力を受けます。
この時に軸先端部が右ネジですと緩む方向の力となり、いずれネジが外れ大変危険な状態となります。
ですが、軸先端部が左ネジですと締まる方向の力となりますので、外れることはありません。
ただし、市販の量産モーターの軸の先端には右ネジも左ネジも関係なく、そもそもネジ穴がありません。
普通はここで手詰まりとなりますが、茂呂製作所では加工部門がありますので対応可能です。
モーターを分解して、中心のローター部のみにして旋盤で左ネジの加工を行いました。
ネジ加工のサイズは、【軸径:Φ20】【ネジ穴:M8】です。
この後、モーターを組立して動作確認を行いました。
元と同じようにスムーズに回りました。
これで旧式のモーターから現行のモーターに置き換えることができます。
今回の作業で、この機械の寿命が大きく伸びたと思います。
茂呂製作所のモーターの追加工の実績として、ネジ穴加工以外にも【旧JIS規格に合わせたキー溝切り直し】といったものがあります。
新品購入より安価で、地球環境にも優しい機械修理が得意な茂呂製作所です。
モーターへの追加工もご相談ください。