【ロータリーポンプ オーバーホール】

今回は液体などの搬送に使われるロータリーポンプのオーバーホール事例のご紹介です。

今回ご依頼いただいたロータリーポンプの写真です。ポンプの回転する羽部分が見えています。

ロータリーポンプは、通常の水のような粘度の低い物から高粘度の液体まで対応できる優れたポンプです。
また、小さな固形物なら少しぐらい入っていても、故障せずに搬送できる特徴があります。

今回の依頼内容は、「回転軸をスムーズに回転させるためのベアリングが傷んだようなので交換をしてほしい」というものでした。

分解前全体の写真です。

早速分解を始めます。

ポンプの羽部方向より分解していきます。
搬送の液体が残っており少し汚れている状態ですが、材質はステンレス製のため清掃すれば綺麗になると判断して進めていきます。

ロータリーをベアリングプーラーで取り外している写真です。
分解後に軸の摩耗部分を確認している写真です。傷が目に見えて確認できます。

ポンプ羽部の後方はギヤボックスとなっております。
ギヤボックスはポンプで搬送する液体が入らないように、回転軸部分にオイルシールと呼ばれるゴムの製品が使われています。

オイルシール部の分解前の写真です。

オイルシール部分を外すとベアリングが見えました。
見えたベアリングには錆が見られます。
通常は、油分があり錆びることがない部品です。

オイルシールを外したところの写真です。本来錆びるはずのない箇所ですが、錆びているのが確認できます。

どうやら、オイルシールの劣化→ギヤボックス内に搬送の液体が侵入→ベアリングが錆びて回転不良となったと思われます。

ギアボックスケースの内部も全体的に錆びています。

早速、新品のオイルシールの手配を行います。
オイルシールが届く間に軸に組み付いているベアリングの交換作業を進めます。

通常軸に組み付いているベアリングは外輪に力を加えて外します。
正常なベアリングでも外す際に外輪に力が加わることで、変形して再利用不可となります。
内輪に力を加えて取り外すと再利用できますが、通常は内輪に工具がかからないので、どうしても再利用したい場合は、軸を加工したり道具を作って内輪に力が加わるようにしたりします。

今回のベアリングはすでに破損している部品ですので、汎用の工具で対応できました。

軸からベアリングを取り外しているところの写真です。工具を使い、力を加えて取り外します。

取り外しにはそれほど気を使わずに済みましたが、軸にベアリングを組み込む際にはベアリングの内輪にある程度の力を掛ける必要があるため神経を使います。

軸にベアリングを組み付ける場合、力を加えやすい外輪を押して圧入すると、ベアリングが変形することが多く、変形によりベアリングの回転抵抗が増加したり短寿命となったりする場合があります。
茂呂製作所では、内輪だけを押すことにより変形を防ぎ、ベアリングの持つ回転の滑らかさや長寿命を得られるように組み付けます。

今回のご依頼についてはちょうど良いサイズの工具がなかったため、旋盤で筒状の圧入治具を制作し、プレスにて圧入しました。
こうやって専用の工具や治具を作り、精度が出るように作業を行うのが茂呂製作所の特徴です。

ベアリング内輪を押すための治具を旋盤で製作しているところの写真です。固定された円柱型の鉄の棒を、刃物で削って管状に加工していきます。
作った治具を使ってベアリングを軸に圧入しながら組み付けます。

数日後、オイルシールが届いたので清掃した部品を丁寧に組み付けていきます。

清掃して組み立てているところの写真です。

その際、分解した順番に並べて組立間違いを防ぎます。

外した順番に並べてあった部品に対し、新品の部品を同じ順番に並べてある写真です。組立の際に順番を間違えないようにする工夫です。

組付けてネジの締め加減で回転のスムーズさが変わるなど、見た目以上にシビアな作業でしたが無事終了いたしました。

軸部の締め付けを行っているところの写真です。大きな工具でボルトを留めるような感覚で作業しています。
作業が完了したところの写真です。交換することにより不要になった部品も並んでいます。

2020年4月27日現在、新型コロナウイルスの影響で全国的に緊急事態宣言が出されています。
茂呂製作所では、搬送可能なものは預かり修理対応をさせていただいております。
感染予防のために、工場訪問を最小限にすることができます。
宅配便で送っていただいてもOKです。
お気軽にご相談ください。

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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