【金属加工業】切子脱油機のシャフト折損修理:新規製作シャフトで復旧

ご依頼の経緯

金属加工業者様より、「切子の脱油装置の動きがおかしい」とのご相談をいただきました。

切子と切削油を分離するための重要な機械で、正常に稼働しないと油分が分離できず、資源として再利用できなくなってしまうため、早急な対応が必要でした。

対象機械について

  • 名称:自動切屑脱油機
  • メーカー:共和工機
  • 型式:YUTORA300
  • 用途:切子と切削油を分離し、資源として再利用可能にする

故障の状況と原因

  • 現状:回転はするものの上下動ができず、切子の排出動作が行えない
  • 発生時期:数日前から発生
  • 影響:油分が分離できず、切子が産廃扱いになってしまう
  • 原因特定:カップリングと軸部分を点検した結果、ウォーム減速機の出力軸(直径40mm)が折損していることが判明

推定要因

  • 経年使用による金属疲労
  • クランク部分の摺動部摩耗によるガタつき拡大
  • スイーベル部の摩耗進行
  • カップリングが頑丈な構造のため、応力がカップリング直後のシャフト部に集中

修理方針と作業内容

ウォーム減速機は市販品に似た構造ですが、シャフト径やオイル投入口など細部仕様が異なり、汎用品では代替不可。また、メーカーから部品単体の購入もできないため、以下の方針で対応しました。

シャフトの新規製作

  • 折損した出力軸を採寸し、新品シャフトを製作
  • 耐久性向上を考慮した加工を実施

ウォーム減速機のオーバーホール

  • 分解清掃し、摩耗部の状態を確認
  • シムの再装着や各部クリアランス調整を実施

組立・調整

  • 新作シャフトを組み込み、ベルトを装着
  • 回転〜上下動作までの一連動作を確認
ウォーム減速機
クランクを介して回転運動を上下運動に変えるので・・・
金属疲労もしますよね
典型的な疲労破面
40mmのシャフトが折れます
分解
いつものように組み立て
シム(重要)も元に戻して
ベルトをかけて完了

修理後の状態

  • 上下動作が正常に復旧し、切子の排出がスムーズに
  • 油分分離機能が回復し、資源としての再利用が再び可能に
  • 新作シャフトにより耐用性も向上

まとめ

お客様は予備シャフトを1本製作済みですが、次回同様の破損が発生した場合には、メーカー発注によるクランク部分の丸ごと交換を推奨します。

これにより、シャフトのみならず関連摺動部の摩耗も一括で解消できます。

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