【半導体素材製造業】クーリングタワーモーターの出力軸防水対策:オイルシール+カバーで湿気対策を強化

依頼の経緯

半導体素材製造業様より、クーリングタワー用モーターのオーバーホールに際し、出力軸部分の防水性向上についてご相談をいただきました。

夏場の冷却効率が命綱となる設備であるため、モーターの長期安定稼働が求められています。

機械について

  • 名称:立型モーター
  • メーカー:三菱
  • 型式:112Mフレーム
  • 用途:クーリングタワーのファン回転用

故障の状況と原因

  • 現状
    モーターは動作しているが、製造から30年が経過。
  • 課題
    • 経年劣化により今後の故障リスクが高まっている。
    • 特に湿気が多くなる夏場に向けて、防水性能の強化が急務。
  • 部品調達の問題
    • モーターの形式が古く、クーリングタワーのメーカー(荏原)から部品の入手が不可能。
    • 代替として汎用モーターを使用することに。

修理・改造の方針

新たに導入した汎用モーターはケースへの設置が前提であり、出力軸周辺には防水構造が備わっていませんでした。

そのため、以下の対策を講じて対応しました。

  • 出力軸全体を覆う専用カバーを製作
    水の浸入を防ぐため、軸面全体をしっかりと覆う構造に。
  • オイルシール(VR型)の採用
    出力軸にはシリコングリスを塗布し、オイルシールで回転部を保護。
    シール部に湿気や水分が侵入するのを防止。
  • 液状ガスケットによる密閉
    インロー部には液状ガスケットを用いて、さらに密閉性を向上。
  • 蓋そのものにオイルシールを取り付け
    蓋の内側にも防水性能を持たせ、二重の対策を実施。
出力軸面全体をカバーする蓋を作成
出力軸をシリコングリスで潤滑したVR型オイルシールで防水、インロー部に液状ガスケットを使用
蓋にオイルシールを取り付けさらに防水

改造の成果

  • 防水性能の大幅向上
    モーターの出力軸からの水分侵入を抑制し、内部への影響を最小限に。
  • 長寿命化への期待
    過酷な湿度環境下でも安定して稼働可能な構造を実現。
  • 現場に合わせた柔軟対応
    既存部品が調達できない状況でも、汎用品を活用しながら最適なカスタマイズを実施。

まとめ

お客様より「これで夏場の運転にも安心して臨める」とのお言葉をいただきました。

旧型モーターの課題をクリアしながら、現場環境に最適な防水対策を施すことで、設備全体の信頼性向上に貢献しました。

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