自動機を設計製造するための学び①

茂呂製作所では若手が自ら学び、それをアウトプットして初めて一人前の技術者となります。

今回は入社3年目の技術者 秋葉君がお客様に相談されたオーダーメイド機を提案するためにその仕組みの中で一番重要なバルブについて、自分で調べてアウトプットした資料を元にこれから「技術者になる」という後輩のための学びの資料として公開します。

電磁弁(ソレノイドバルブ)とは

電磁石(ソレノイド)に電流を流すことで、プランジャと呼ばれる鉄片を吸引し、電流を切ると離れる原理を使用し、弁(バルブ)を開閉する仕組みを持つものです。

電磁石(ソレノイド)に電流を流すことで、プランジャと呼ばれる鉄片を吸引し、電流を切ると離れる原理を使用し、弁(バルブ)を開閉する仕組みを持つものです。

3ポート電磁弁

単動式のシリンダの駆動、単動式のエアオペレイトバルブの開閉に使用されます。

5ポート電磁弁

複動式のシリンダの駆動、複動式のエアオペバルブの開閉用途に使用されます。

エアオペバルブ

各ポート役割

Pポート

PポートのPはプレス(plessure)の略です。
つまりエアを供給するポートのことです。

元圧から配管チューブでPポートに繋ぎ、エアを供給することになります。
そのため、配管チューブを繋ぐための継手を組み付ける必要があります。

Aポート、Bポートとはどちらも電磁弁の2次側へ続くポートです。
3ポート弁の場合はAポートのみ、5ポート弁の場合はどちらも存在します。

基本的な区分けとして、Aポートは電磁弁への通電がOFFの場合には遮断されており、ONになるとエアが通り、2次側のシリンダなどへエアが供給されます。

Bポートはその逆で、通電がOFFの時にはエアが2次側へ通り、ONになるとエアが遮断されます。

ABポートには継手を組み付けるのが基本ですが、たまにスピコンを組み付けるケースもあります。

Rポート(Eポート)

RポートのRはリリース(release)の略です。
エアを大気に排気する役割のポートです。
Eポートと呼ばれることもあります。

3ポート弁の場合、2次側のエアがAポートを通りRポートから排出されます。

5ポート弁の場合はR1・R2ポート(またはRA・RBポート)と2つに分けられますが、AポートからのエアはR1ポートから排気され、BポートからのエアはR2ポートから排気されます。

R1とR2を共通にして、4ポート弁(P、A、B、Rの4つ)と呼ばれる電磁弁も存在します。

Rポートには「プシュッ」というエアの排気音を小さくするために、サイレンサが組み付けられます。

PEポート

PEとは、パイロットエギゾースト(pilot exhaust)の略。
PEポートはパイロット式の電磁弁に設けられます。

メーカーや機種によっては呼び方が異なり、PRポートと呼ばれる場合もありますが、PEポートと全く同じ役割を意味します。

パイロット式の電磁弁は、エアの力を補助的に利用して弁体(スプール)を切り替える方式ですが、この補助エアを排気するためのポートがPEポートです。

もしPEポートを塞いでしまった場合、スプールが十分に動かなくなり、動作不良につながる可能性があります。

そのためPEポートは絶対に塞がず、何もつけない、もしくはサイレンサを組みつけるようにします。

前述の通りパイロット式の電磁弁はエアの力を補助的に利用して弁体を切り替えています。
その補助エアは標準的にはPポートから供給されます。(内部パイロット式)

しかし、補助エアをPポートから供給できない場合があります。
真空を流したい場合や、エアをA、BポートからPポートに流したい場合などが考えられます。

その時は補助エアを別ポートから供給する必要があります。
そこで設けられるのがXポート。
メーカーによってはPAポートとも呼ばれます。
このタイプの電磁弁を外部パイロット式と呼び、オプションで選択することができます。

各ポートのまとめ

Pポートエアを共有するポート
ABポート2次側へエアを通すポート
Rポート(Eポートエアを排気するポート
PEポートパイロットエアを排気するポート

電磁弁の記号

ソレノイドで押されて切替わる部屋が通電時

バネで押されて切替わる部屋が非通電時

そう考えると覚えやすいです。

四角い部屋が2つ書かれている場合は2ポジション、3つ書かれている場合は3ポジションの電磁弁となります。

内部パイロット

パイロットエアとは、バルブを切り替えるために供給される圧縮空気のことを指します。

バルブ(電磁弁)は電気の力で切り替えられるものだけではなく、エアの力で切り替えられるものが多く存在します。

ソレノイドバルブとは

ソレノイドとは電磁石のことで、コイルに通電すると磁力を発生し、吸引力で弁を切換えます。

このような切換える方向制御弁を『電磁弁』または『ソレノイドバルブ』と呼ばれます。

この中で5ポート電磁弁を使い、複動シリンダーの作動切替えに用いられる方向制御弁の基本が『シングルソレノイドバルブ』『ダブルソレノイドバルブ』の2つがよく使用されます。

電磁弁のシングル、ダブルの使い分けは非常時の事故防止が関わる要素であるため、とても重要となります。

シングルソレノイドバルブ

1個のソレノイド(電磁石)を使用し、弁を切換える方式のことです。

ダブルソレノイドバルブ

2個のソレノイド(電磁石)を使用し、交互に弁を切換える方式のことです。

シングルとダブルの使い分け

シングルソレノイドは通電が切れると自動的に元の状態に戻ります。
エアオペレイトバルブに使用した場合は、通電時にバルブが開き、非通電時はバルブが閉じます。

例えば水を流すエアオペバルブの切替えに電磁弁を使用するケース。
停電など非常時にバルブが開きっぱなしで水が流し放題になると困るとします。

そのような際にシングルソレノイドの電磁弁を使用していれば、停電時に流路は元の状態に戻りますので、水を自動的に止めることができます。

このように停電などの不足の事態があったときに、シリンダやエアオペバルブなどの使用機器を自動で元の状態に戻したい場合はシングルソレノイドを使用する必要があります。

ダブルソレノイドは通電を切っても、もう片方のソレノイドに通電しない限り、その状態を保持します。

エアシリンダに使用した場合は、片方のソレノイドに通電するとシリンダが押し出し、もう片方のソレノイドに通電しない限りシリンダは引き込みません。

停電など非常時、シングルソレノイドだと勝手にシリンダが動いてしまい事故発生のリスクがあります。このような場合にはダブルソレノイドを使用する必要があります。

また、シリンダやエアオペバルブを動作した状態で保持させる時間が長い時、ダブルソレノイドなら通電を切っても良いため、節電のために利用される場合もあります。電磁弁の熱対策にもなります。

シングルとダブルのまとめ

  • シリンダやエアオペバルブなど電磁弁の二次側に使用する機器を、通電が切れた際に自動で元の状態に戻したければシングル
  • 通電が切れてもその状態を保持したい場合はダブル。
  • どちらでも良い場面では安価なシングルが選ばれるケースが多いですが、連続通電の時間が長くなる場合は、節電や電磁弁の熱対策のためにダブルが使われることもあります。

参考にした資料(URL)一覧

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