メーカーが無い機械の延命
山梨県内のレーザー機などを使って彫刻、マーキング、切り抜き等をおこなっている企業様から、機械などの修理を「近隣ですぐに対応してくれる」企業にお願いしたい、との思いからご相談を受けました。
今回のご相談はサンドブラストのことで内容は2つでした。
サンドブラストのノズル
1つ目のご相談内容です。
機械を購入した先と連絡が取れなくなったので、消耗品であるブラストガンの先端にあるノズルが入手できなくなってしまった。
手元の在庫がなくなると困るので、現行品と同等もしくはそれ以上にコストパフォーマンスがいいノズルを作って欲しい。
ノズルは通り穴が摩耗して大きくなってしまっていますが、現品があるため、下記のような対応が可能となります。
- 材質は公的機関にて調べることができるので、同等以上の品質のものを作ることができそうである。
- 摩耗してしまった穴はお客様との打ち合わせによる想定で決定、外径等は取り付け状態などを確認することで全てわかるので、作図から問題なく対応できる。
ということで問題なくスタートできます。
まずはお見積もりからスタートさせていただくことがすぐに決まりました。
ブロアの修理(モーター置き換え)
2つ目のご相談内容です。
ブロアが調子悪い。
もしブロアだけ交換や修理ができるならとても助かる。
その費用が高額であるなら新しいサンドブラスト機を購入することも視野に入れるので、検討してみて欲しい。
ブロアについては、現地で確認したところ下記のような状態でした。
- ホースの目詰まりがひどいことが問題点で、日々のメンテナンスが必要なことが分かった
- モーターの先にある羽根が研磨剤で摩耗してしまっていることにより、出力が発揮できていない
- モーターの軸受けシールが経年劣化しており、研磨剤が入り込んでしまいベアリング回転が悪くなっていることが想定できる
- モーターの交換を想定・提案をしたが同じモーターは廃版なので、モーターの取り付け面などの追加工が必要
修理するパターンだけでなく、新しい機械を購入するパターンも含めて当社で提案させていただきましたので、比較して精査されることとなりました。
(後日確認したところ「新しい機械を購入することに決めた」とのことでした。)
保守部品・交換部品の製作
2つのご相談のうち、1つ目のノズルの製作をご発注いただきました。
- まずは公的機関にて現品の材質調査です。
その結果材質はS45Cと分かりました。
当社の見解ではS45Cの焼き入れがベストと判断したのですが比較検討のためSS400、S45C、SUS304も選択、4種類の試作を行いました。 - 形状は簡単なものですが、先端のR部を正確に測定するために三次元測定機を用いて計測、その値を元にCADにて作図します。
- 製作工程は全て旋盤で行います。
- 摩耗を防ぐための焼き入れ・焼き戻し処理を協力企業様にて行い、完成です。
取り付け、実際にブラスト作業をやってみていただいたところ、「以前のものよりいいのでは!?」と過分なお褒めをいただきとても嬉しかったです。
結果的に一番良かった価格に対する品質で考えた場合はS45Cに焼き入れ焼き戻しを施したものでした。
新人スタッフの初挑戦
実は今回、茂呂製作所に入社して研修とひと通りの業務を経験したばかりの新人技術者が担当責任者として最後までやり通してくれたのです。
担当したD君には「何かあったても全て会社が責任を持つ」「大丈夫、やってみろ!」と伝えてD君は勇気をもってスタートしてくれました。
とは言っても慎重派のD君は一つ一つ確認を怠らず対応した結果、お客様が希望した納期期日よりも1週間早く、納品できました。
茂呂製作所では、人材育成に力を入れており、研修を終えたスタッフは実務でじゅうぶん通用する技術力を身に着けています。
あとは経験を積んでいくことで一人前に成長していくので、ベテランスタッフが見守りながら、自分自身の判断でクリアしていってもらうことが重要です。
万が一失敗した場合にも、社内が一丸となり納期を達成できるようにサポートしていきます。
お客様と共に技術者を育てる!
とてもいい事例にもなりました。