車の改造!?移動体験教室専用車を創る
茂呂製作所では、「お客様の想像を創造する」ということをスローガンの一つに掲げています。
お客様が何を実現したいのかをしっかりヒアリングし、お客様とともに想像し、創造する(形にする)のが私たちに課されていると考えています。
今回も、お客様の想像をヒアリングするところから始まります。
茂呂製作所のメンテマン(機械修理部隊)は山梨県全域を守備範囲にしています。
今回のお客様は茂呂製作所からまっすぐ南に車で1時間ほどのところにある身延町様(以下、身延町です。)
なぜ身延町からご依頼をいただいたか?
それは以前、身延町にある「なかとみ和紙の里」様(以下、和紙の里)から、装置の修繕のご依頼をいただいた際に、メンテレンジャー グリーンが誠心誠意対応していたからでした。
和紙で有名な身延町と和紙組合様(以下、組合)が和紙体験教室で地元を盛り上げるためにがんばってきたのですが、新型コロナウィルスの影響でお客様が来られなくなってしまいました。
ならば、こちらから移動して体験してもらうことができる「体験車」を作ろうということになり探していたところ、和紙の里が「茂呂製作所さんは何でも創れるようだ」と感じていただけたようです。
まずはお打ち合わせ!(5月)
身延町、組合からのご要望は下記の通り。
- 軽トラック(新車)は身延町から支給する
- 荷台には屋根が必要。材料のパネルは支給する
- 中古の乾燥機を支給するので改造と修繕をして取り付ける
- これ以外の部品類は茂呂製作所から提案してほしい
- 予算は身延町が負担、決して潤沢では無いのでコストを考えてより良いものを!(ちょっと難しい相談でした)
- 納期は9月17日のお披露目に間に合わせてほしい(この時は余裕でしたが……)
事前にできることは全部やる!つもりでしたが、車が納車されないことには、部品類の選定が終わらない。
納車の連絡を待ちました……
納車は8月10日、ちょっと厳しい納期になりましたね。
しかしそこはメンテレンジャーの力を結集して!!
製作の主責任者はメンテレンジャー レッドが担当でした。
なぜレッドが担当になったのか!?
それは……前職が自動車整備工だったからとか!?
作業工程はこのような内容でした。
屋根のフレームを取り付け
取説はあったのですが、写真と簡単な文書のみでしたので、そこからお客様が想像しているものを創造することに苦労しました。
車がまさかの新車!だったので傷つけないように気を使います。
ここは元整備士魂です。
中古の乾燥機を改造、荷台に取付
荷台に乾燥機を置くとほぼピッタリ!で余裕がない。
これでは手漉き作業ができません。
そこで経験豊富なメンテレンジャー イエローに相談。
乾燥機は作業台のようになっていたので脚を切断、スライド式にして手漉き作業の場所を広くとれるようにしました。
乾燥機の上に荷物類を置けるテーブルを作る
荷台にはエンジンを点検するための窓があります。
それを塞いでしまうわけにはいかないので脱着式にしました。
大きなものは取付完了したので、扉や屋根のパネルを取り付けます。
いけすの購入と3種類のスタンドを製作
(いけすって何!?)
「いけす」とは、和紙業界用語では「舟」と言うそうです。
この中に水を張って木枠を入れて和紙を漉くための箱です。
このいけすのサイズを決める工程が苦労しました。
大きいものがいいが収納できない、使い勝手で選びたいが不安定、などコンパクトさと目的はなかなか両立できませんでした。
そんなときにはオンラインで繰り返し打ち合わせできたことは便利でした。
いけすはプラスチックコンテナを利用、スタンドは汎用のアルミフレームを使いました。
汚れたり壊れたりしても、新しいものを再購入等しやすいように選択しました。
サクションBOXの製作(和紙の水分を取る掃除機)
これで「和紙の里」が作る和紙の簡易版をつくることができるようになります。
掃除機もコンパクトで使いやすく!で選定。
脱水の受け箱の溶接と掃除機をつなぐパイプの溶接は、今回私が担当させていただきました。
普段は機械組み立てを担当することが多いため溶接はあまり経験がなかったのですが、とても良い経験となりました。
さらに対応できる作業の幅を広げていきたいと思っています。
手押しプレス(さらに水分を取るためのプレス)の製作
お客様の想像を、私が創造しきれず、お客様の評価はもう一歩でした。悔しい……
「また少し改良をお願いするかも」とまずは試験的にも使ってくれることで一安心です。
- テーブル等備品の購入、準備
- 会議用長テーブル
- 発電機
- 荷物止め具
以上が製作工程となります。
完成した「移動体験車」はこちらです!
お客様の反応
- まずは納期間に合って喜んでいただけました。
- プレス部は簡易すぎたかも?使ってみて様子見ていただくことになりました。
- プレス以外は全部「満足!きれいだ!」と喜んでいただけました。
担当したメンテレンジャーレッドの感想
- 初めて最初から最後まで自分が責任者となった業務が仲間たち(とくにイエローの口出し)のおかげで完成できてホッとしています。
- やっている時は納期×納期とばかり考えて大変でしたけど、納品してお客様の笑顔や後日掲載された新聞を見て、この体験車が活躍したこと、子供たちの喜びに関われたことが嬉しかったです。
- 自分も実際に体験・見学してみたいです。
茂呂製作所として自動車の改造は初めての体験でした。
一般の方が使用する完成品を作ることもめったにありません。
そんなことからもドキドキワクワクがあったと思います。
それを使う人の笑顔までが見えた(結果がすべて見えた)ことは嬉しい事例でした。
これからもお客様のために「創る」を挑戦していきます!
☆ご案内
2021年10月23日、24日(10時から16時)に道の駅富士川にて「甲州和紙まつり」が開催されるそうです。
こちらのイベントの中で、この専用車での和紙の手漉き体験ができるそうです。
お時間のある方はぜひ足を運んでみてください。
当日はメンテレンジャーレッドもお忍びで見に行くとのこと……