羽毛待機室の製作
今回は、ある特別な「部屋」の製作依頼です。
寝具製造販売と羽毛布団のリフォームを手掛ける工場からご依頼いただきまきました。
古くなった布団などから、羽毛を取り出し、再生利用できるようにする工程で使用される「羽毛待機室」と呼ばれるものです。
羽毛待機室とは
既存のものはドイツ製の装置を使っています。
海外製ということもあり、装置の不具合などの修理依頼をいただいていたのですが、今回新たにもう一台導入するにあたり、茂呂製作所にご依頼いただきました。
まずは、待機室が設置される再生室の様子をイメージ図で見てみましょう。
真ん中にある正方形が待機室です。
左側のボックスで古い羽毛を人手で取り出し、エアーで上の配管を通り待機室に運ばれます。
こちらは待機室の構造です。
古くなった布団などから取り出された羽毛は、上の配管からこの部屋に運ばれてきます。
送られてきた羽毛を、手前の銀色のファンから出るエアーで噴き上げ、後方の黒色の治具で攪拌し、絡まった羽毛や汚れなどを分離させます。
床に並べられている丸いものは磁石で、金属が紛れていた時に除去するためのものです。
下部に設置されている排気管を通り、本格的な攪拌作業となる攪拌装置に搬送され、その後洗浄装置へと運ばれます。
以上が羽毛待機室の紹介です。
作業効率向上のため、10年以上使っているものと同様のものをもう一台ご所望でした。
ただ、これまでと違う点が一点。
「金属では羽毛を傷めてしまうため、木工で製作してほしい」とのこと。
今回製作した羽毛待機室
下の写真が、今回製作させていただいた羽毛待機室です。
お客さまが木製を指定された理由は、3点あります。
1.費用が抑えられる
2.金属製だと羽毛が傷む
3.工場内に温もりを与えられる
2については少し意外に思われるかもしれませんが、金属製ですと経年劣化で錆などが発生し羽毛に悪さをする可能性があります。
木の表面はコーティングしており、ささくれ等が出ないようにしてありますので、この方が長期間使われる場合には羽毛にやさしいということになります。
木工品にファンおよびモーター、弊社で設計製作した攪拌治具を取り付け、現地で排気管を設置。
攪拌治具については、よく攪拌できるようにエアーの筒先の形状を平な物にしました。
試運転も問題なく、お客様に回転物への定期的な注油をお願いし、ご依頼いただいてから約一週間で納品完了です。
「今まで使っていたものは金属製で冷ややかな感じであったが、木工品のため温かみがあり社内もとても感じがよくなったので、ありがたい。」
と喜んでいただけました。
最後に、担当者から一言!
今回の装置は、羽毛に限らず羽毛のようにリフォーム可能な軽い素材のものであればお使いいただくことができると思います。
ピンときた方はぜひお声がけください。
ご存知の通り、茂呂製作所は金属加工の会社ですが、今回のような木工製作など、お客様の多様なニーズに柔軟にお応えしています。
機械のことならなんでもご相談ください。