ワーケシャポンプ オーバーホール
オーバーホール前の現状
右の写真は分解前の状況です。
真ん中の社員はギヤカバーを外した写真、ギヤの変色部分がオイルのレベルです。
右の写真(赤丸箇所)は、ゴムカバー欠品しています。
故障の原因調査 分解手順
ポンプカバーを外し、ローターナットを外します。
ナットは特に向き無し。
インペラが固着してる時はプーラー使用すること。
本来インペラ脱着時には向きが決まっていますが、今回は固着しているため無視します。
ギヤを外すため向きは重要ではありません(組立時に合わす為)。
真ん中のロックナットの切り欠き4か所のどれかに爪があるので寝かします。
細い木の棒などで、回り止めし切り欠きを叩いて緩めます。
ロックナットの締め具合分かるよう、最初に印をしときます。
上のギヤと下のギヤの位置関係(山側か谷側)があるので、ギヤにもポンチで刻印します。このギヤは清掃したら合いマークの印が出てきました。
ポンプボデーを外すと、画像のようにオイルシールがあります。
O/Sもボデーもそうですが、インチの六角なのでそこは注意です。
赤丸部分はメカシールです。
裏にスプリングがいますので向きを確認する事。
ボデー側にも付いてます。
メカシールは高価なので要注意!
O/S外すとベアリングが見えてきます。
画像にありませんが、ポンプ側のO/Sとギヤ側のロックナットを外したら、ギヤ側からシャフトをプラハンで叩けば、ポンプ側に抜けてきます。
その際、ギヤとシャフトがズレてくるので、外れる直前は注意(シャフトとベアリングは赤丸の様にそっくり外れます)。
今回の故障原因は?
ポンプケースに 油 または 水 が溜まっており、ベアリング破損に繋がったと思われます。
本来、ケースの中の部屋はグリス部屋なので液体はNGです。
下記3種類の部屋で構成されてます。
- ギヤ側の部屋 → ギヤオイル
- ケースの中部屋 → グリス
- ポンプ側ボデー → 任意の液体(今回は酒)
部品交換作業 分解
プーラーやプレスを使い分解してきます。
この時、シャフトに摩耗していないか見ます。
特にO/Sの当たりの所は要注意。
赤色矢印の部品は再利用するので清掃しておきます。
部品交換作業 組付け
ベアリングは最初にグリスアップしときます。プレスを使って圧入してきます。
旋盤でベアリングの外輪や内輪にあったパイプ作ったりして、キズを付けぬよう圧入します。
グリスは全て組み上がった後でも入れられるのですが、目で見て入ってるか確認できないので、先に入れとく方がいいと思います。
シャフトにベアリングが組み上がったら、写真の様に当て棒してコンコン叩いて入れます。そんなに力は要りません。
逆に簡単に入らないようであればキズがあるなど問題があるので、しっかり確認しましょう。
次はO/Sを入れます。
この時、裏面に液体ガスケットを塗布しましょう。
シールの当たり面にはグリスを縫っておくこと(実際は写真の液ガスではなく、違う液ガスを使っています)。
左写真はギヤ室のO/Sです。
木材など使って入れます。
当たり面にグリスを塗っておきます。
シールの相手側にカラーがありますので、そのカラーの摩耗はよく見ておきましょう。
この時はカラーの段付きが酷かったので少し研磨しました。
右写真の赤丸以外の部品は、すべて再利用します。
- 赤丸は元々刻印された合いマーク
- 黄丸は任意で今回打った合いマーク
ギヤを入れる時は合いマークを合わしながら上下入れていきます。
ロックナットを閉めたら爪を起こして終了です。
締め具合は、最初にポンチしておくと参考になるので、ポンチは必須です。
ポンプケース内のOリング、メカシール内側のOリングは付けたら食品用グリスを塗ります(基本この部屋は食品なのでグリスは食品用を使うこと)。
メカシール(※)のスプリングは向きあるので注意してください。
メカシール(※)
矢印の合わせ面がくっついて共に回転し密閉するシールのこと です。
高価なので取り扱い注意です。
ポンプの羽は左写真の様に向きを合わせて嵌めます。
ロックナットは回り止めをして締めましょう。
この時は特にトルク締めはしませんでした。
締める工具は特殊であり必要に応じて製作しなければなりません。
ギヤケースカバーは液体ガスケットを塗布して取り付けます。
O/Sのリップにはグリスを塗っときます。
各ドレンボルトは劣化していたため新品に交換。
赤丸部分は最初からなかったが存在に気づかなくて組み上がったら無いことに気づきました。最初に確認しておきましょう! (本当は黄丸と同じものがつきます。)
まとめ 注意点
ポンプケースカバーを締め、ギヤケースには最後に工業用ギヤオイル#320を入れます。
シャフトを手で回した感じは結構重いです。
特に引っ掛かりがないか確認してなければオーバーホール完了です。
分解時の注意点として
- 外す前にポンチやマークをしておく事(何かあっても再現性があるため)
- 外したシャフトのO/Sの当たり面は摩耗していないかよく見ること。
- 最初に欠品部品がないか確認すること。
作業時間は凡そ15〜20時間となります。
今回担当したのは技術支援部 保全課 広川課長でした。
このようなオーバーホールは頻繁に行っており、新人社員の最初の試練、登竜門的な業務となっています。