若⼿社員の上司が語り合う!Aグループ
茂呂製作所の若手社員の成長を追う座談会シリーズ第二弾では、若手社員の上司や先輩が語り合います。
Aグループに登場してくれるのは、サービス部課長兼オンライン担当の渡邉晃さん、総務営業部営業課長の南場順子さん、加工指導員の矢崎徳雄さん、サービス部主任の堀口敬佳さんの4人。
それぞれが、広川さん、依田さん、小野さん、宮下さんの上司や先輩であると同時に、かつて若手として奮闘した経験を持つ元・若手社員でもあります。
今回は、そんな4人に現・若手社員の“他己”紹介から、若手時代に困難を乗り越えた経験、茂呂製作所の課題までを、存分に語り合っていただきました。
頑張り屋、穏やか、スキルがある、頭がいい。4人の若手の強みに迫る!
☆それではまず、簡単に皆さんの自己紹介をお願いします。
渡邉課長
サービス部課長とオンライン相談を担当しております、渡邉晃と申します。
山梨県都留市の出身です。
茂呂製作所に入社してほぼ3年になります。
前職では、計測器を作るメーカーでプログラマーをしておりました。
南場課長
総務営業部営業課長の南場順子です。
見積もりやクレーム対応など、主要顧客を中心に全般的な窓口を担当しております。
社歴は18年目に入りました。
お隣にいらっしゃる矢崎さんと私の間の社歴が、実はかなり開いています。
矢崎指導員
矢崎徳雄と申します。
私は高校を卒業した18歳の頃に茂呂製作所に入社して、72歳の現在までずっとこちらで働いています。
現在の主な職種は、加工課での指導担当です。指導が中心とはいえ、特急品を受注したときなどは応援に入ります。
ただ、新しいことはやはり若い人たちには負けますので、彼らに任せています。
とはいえ、50年以上前、現社長がお生まれになっていない頃からここで働いていますから、一通りのことは何でも知っています。
いろいろな引き出しから若い皆さんに技術やノウハウを伝えていくことが、役目だと思っています。
堀口主任
堀口敬佳です。
入社してちょうど7年になります。
現在、サービス部主任として治具やメンテナンス関係を主管しております。
前職では日立系列の半導体の組み立ての会社で働いておりました。
出身は愛知県で、現在の住まいは甲府市です。
☆次に、皆さんが指導を担当されている若手社員の“他己”紹介をお願いします。
渡邉:広川さんは、前職が車の修理・塗装関係ということで、メカ的な部分は全て信頼して任せられます。
一方で、電気的な部分は分かる範囲が狭いことが見て取れます。「電気工事士の資格を取得して仕事の幅を広げる」ことを目標に掲げていますが、これは自分なりに「とにかく仕事の幅を広げてやろう」という想いから来ているのだと思います。
頑張り屋なところが、実に彼らしいです。
また、「清藤さんから卒業しなきゃ」 と言っていますが、私は違う見方をしています。なぜなら、ある意味ではもう卒業しているからです。
例えば清藤さんは電気が得意ですが、広川さんはメカ的なところが断然得意。それぞれ得意な分野が異なるだけであって、広川さんが清藤さんの下で一方的に助けてもらっているというよりは、同僚として一緒に仕事に取り組んでいるイメージです。
きっと、謙虚すぎる広川さんの性格から出た発言でしょう。彼の強みは、若手の面倒見が良いところや、お客様とすぐに仲良くなれるところなど、他にも沢山あります。
☆座談会の様子からも、広川さんは社内のムードメーカーのような存在だとお見受けしました。ちなみに、「ここを改めるとより輝けるよ」というようなアドバイスはありますか?
渡邉:上司の扱いが悪いっすね(笑)。私なんかは、いじめられて困っています。ここにいる皆からも「あいつ」呼ばわりですから(笑)。
南場:言っていない言っていない!「わたなべ様」です(笑)
渡邉:こういうくだけたところが茂呂製作所の良いところでもあるので、私は好きです。ただ、外から見るとやや馴れ合い過ぎている観もあるかもしれません。
広川さんの気さくさが対外的にはデメリットとして映ることがあるかもしれないので、強いて改善点を言うならそれくらいですかね。
☆ありがとうございます。では次、南場さんから依田さんの紹介をお願いします。
南場:依田さんは、気分の浮き沈みが全くなく、いつも穏やかな人です。「怒ることはあるのかな?」というくらい穏やかで、優しい雰囲気をいつも醸し出しています。
現在は加工から調達の仕事も含めて担当するようになったので、頑張って勉強してもらっているところですが、やはり若い人は飲み込みが早い。本を持ち帰って自宅で勉強したり、数をこなしたりしていく中で、どんどん吸収していく姿は素晴らしいです。
☆そんな依田さんに、「もっとこうすると良いよ」というアドバイスはありますか?
南場:ダメ出しすることはあまりないのですが、優しいがゆえに加工課やサービス課の人たちからの「できないよ!」をすんなり受け入れてしまうところがありますね。
私は日頃あまり注意をしない方ですが、依田さんには「いつもお客様の立場にいてね」と伝えています。
私たち総務営業部の立ち位置は、常にお客様と一緒。社内の別の課の「できない」を受け入れてしまうと、お客様に迷惑がかかってしまいます。多少厳しいことでも頑張って伝えたり、加工課を励ましてうまく稼働できるように指示したりすることも、必要になってきます。
私も最初は加工課に対してなかなか強く言えない頃があったので、難しさは分かります。ただ、お客様がお困りのときには「嫌われてなんぼ」というくらいの気持ちで厳しく言えるようになると、より成長できると思います。
☆南場さんが当時クライアントと加工課との間の折衝に苦労されたとき、どのように乗り越えたのですか?
南場:入社3年目くらいに、お客様から「明日持ってきてくれないと困る」と声を荒げられたとき、「自分が逆の立場だったら確かに困るな」と分かってスイッチが入りました。
以来、「お客様の立場に立とう」と決めて、社内的には厳しいことを言うようにしました。そうすると、お客様から信頼されるようになり、ひいては会社の信頼にもつながります。
人生で怒られることってそうそうありませんから、声を荒げられてびっくりしましたが、困りごとを解決して差し上げたときの感謝もとてもストレートに伝わってきます。私たちの立場は、お客様の感謝の気持ちを真っ先に聞ける立場でもあるので、それがまた自分のエネルギーになります。
そんなエネルギーの積み重ねがあって、自然とお客さんの立ち位置に立てるようになったのだと思います。
☆それでは続いて、矢崎さん、小野さんの紹介をお願いします。
矢崎:最初に言っておくと、私は人付き合いがあまり上手くありません。こういう職業を選んだのも、機械加工が好きということもありますけど、「機械が相手なら人と喋らなくてもいいかな」と思ったからで。
そんな中、立場上指導したり人と話をしたりしないといけなくなってしまって……だから本来的には話をしながら教えることがあまり得意でなくて、昔ながらの「見て覚える」ような教え方だと思います。
小野君の様子を見ていると、プログラムなど最近の技術を含め、基礎的なスキルは持っています。スキル自体はあるのですが、慎重になりすぎるところがあります。
「スピードが遅い」ということを課題に挙げていますが、それはきっと慎重になりすぎてダイレクトに仕込みができないから。あらかじめ頭で考えて、メモしてから実行すると、確かに失敗は少ないかもしれませんが、スピードは上がりません。
まだ仕事に慣れていないから、失敗する怖さも大きいと思います。でも、失敗は必ずしも悪いことではありません。
なぜなら、失敗の過程が大事だから。まるきり失敗しないでいると、トラブルが起きたときのリカバリーに苦労するようになります。
最終的にリカバリーしたり修正したりして完成に持ち込めば良いので、失敗を恐れず「えいや!」と思い切ってみてください。それで度胸がついてくれば、スピードアップできると思います。
「物は飛んでくるし、げんこつは飛んでくるし」でも結果オーライな若手時代
☆矢崎さんの修行時代はいかがでしたか?
矢崎:やっぱり慎重になっていましたね。今と違って物は飛んでくるし、げんこつは飛んでくるし。
でも結果オーライ。できたときの達成感のほうが大事でした。
「こういう方法もあるな」「こうしたら早いかな」と手を動かしながら考えると、マンネリ化もしないです。
今の時代、ほとんど機械でできてしまう世界ですけど、自分の目で見て「どうすればいいかな」と手を動かしながら考えたことが経験値になります。
小野君も1年後くらいがまた楽しみですね。
☆小さな成功や達成感が、小野さんの成長の鍵になりそうですね。ありがとうございます。それでは堀口さん、宮下さんの紹介をお願いします。
堀口:宮下さんは、頭が良くて作業も早い。聞けばすぐできてしまうタイプです。
☆要領が良いんですね。
堀口:はい。ただ、経験は少ないので、「要領は良いけど失敗はする」という段階です。
私も矢崎さんと同じで、「別に失敗しても良い」という考えです。なので、普通に失敗させつつ、「次からこの失敗は二度とするなよ」と伝えています。
実際、宮下さんはこれまで何回も失敗していますが、今ではほとんど一人で治具を組めるようになりました。
とはいえ、まだまだうっかりしたところもありますし、お客さんと話すことに難しさを感じているようです。それも今後は克服していかないといけませんね。
実は1件任せてみたのですが、彼が周りに相談すると、周りがやりすぎてしまって……。「皆さん、甘やかさないでください。宮下君1人でやらせてみて」と言うのだけれど、どうも可愛いがってしまうようです。
「ありがとうを伝えたい相手」である「お父さん」のように、一日も早く一人前になって活躍してくれると期待しています。
くよくよしても仕方ない。気持ちを切り替えるコツは「音」!?
☆それではここからテーマを変えて、皆さんが若手だった頃に苦しんだことと、それをどう乗り越えたかを聞かせてください。
矢崎:その時々で苦しいことはあったと思うのですが、私は機械加工が好きだから苦しいことはあまり覚えていないね。それになにせ、50年以上も経ってしまっているから(笑)。
ただやっぱり、若い頃はできないことの方が多くて悔しい思いはしましたよ。上司から注文されたことを上手くできなくて、悔しくて何度も練習しました。
ときには帰宅してまで悩んだこともありましたけど、くよくよしていても仕方がない。失敗したその日は「ごめんなさい」と謝るけれど、翌日には引きずらないようにしていました。
「次頑張ろう」「間違えたところから改めて考えてやってみよう」と、一日一日が勝負だという気持ちで次の日に向かってきたのが良かったのだと思います。
南場:私も矢崎さんと同じで、失敗しても次の日には絶対忘れるタイプです。
切り替えの早さは鍛錬の結果でもありますが、茂呂製作所って常に「新しいチャレンジをしてみよう」というマインドの会社なので、日々新しいことが起きる。いいことも悪いことも、引きずっている場合ではないのです。
だから若い皆さんに伝えたいのは、「気持ちの整理をつけるトレーニングをしましょう」ということと、「失敗から学びつつも引きずらない」という2点。これが私からのメッセージです。
☆南場さんが気持ちを切り替えるときのコツなどがあれば教えてください。
南場:音です。
耳元でパチッと音を鳴らすことで、「今悩んでいた、ネガティブになっていた」と気がつきます。そうすると、自覚的に気持ちの切り替えができます。もともと引きずらない性格ということもありますが、音で切り替えるのは効果大なのでオススメです。
☆音ですか!面白いですね。渡邉さん、いかがですか?
渡邉:私は弊社が4社目なのですが、転職するたびに苦労したのが「自分の居場所をどう作るか」ということです。言われたことを頑張るだけではなかなか居場所はできないですし、周囲もやり辛い。
そこでどうしたかと言うと、まず周りをよく見ようとしました。今も、よく見るようにしているつもりです(笑)。
「この人は何ができて何ができないのか」と周りを観察して、「この人はこういうところが苦手そうだから、私がやらせてもらおうかな」と、徐々に自分が入れる隙間を見つけていきます。
こう見えて人見知りなので、周りの得意と不得手を把握しつつ、カバーしながら居場所をこじ開けていましたね。
☆確かに、すでに皆さんの持ち場が決まっている職場に新しく入っていくので、観察してこじ開けるしかないですね。堀口さんはいかがですか?
堀口:私は採用された半導体工場で働こうとした時、そこではなく全く異なる工場で働くことになりました。7、8年目に半導体工場に戻って来られたと思ったら、そこをまとめる立場になって、いろいろ苦労がありました。
仕事ではあまり頼れる相手が居なかったのですが、友人との交流はありましたし、何より子どもが遊ぶ姿を見るたびに「頑張ろう」と次に向かうことができました。
不安を見せずに飛び込む勇気「我々が率先して若手に見せていかないと」
☆家族の存在が大きかったのですね。皆さん、若手社員のアクションのヒントになる素敵なお話をありがとうございました。最後に、茂呂製作所をより良い会社にするための課題や改善点があればお聞かせください。
矢崎:お金も絡む部分なので難しさはあるかもしれませんが、加工課としてはそれなりの機械や設備を導入していただけると若手も集まりやすく、会社も伸びていくと思います。
今はもはや、機械の精度次第で特別な技術は必要ありません。後継者不足、人手不足が課題ですが、若い人たちにとって最新の機械を扱える楽しい職場は魅力的です。
これから増えるであろう海外からの技能実習生たちも、新しい機械を使うことで勉強になるでしょうし、正確に仕事をこなせるだろうと思います。
☆まさにそうですね。他の部課はいかがですか?
堀口:サービス部の立場としては、様々な機械の修理やメンテナンスに対応できるマニュアルを構築して、社内の技術の底上げを図ることが課題だと感じます。
弊社のお客様の中には、中古で購入した機械を修理しながら使い続けている中小企業やベンチャー企業が少なくありません。そのようなニーズにお応えするには、新しく入ってきた人でも対応できるようなスキルやノウハウの共有が不可欠です。
現状は、それぞれが写真に撮りためている状態なので、これを集めて資料にしないといけない。いろいろな機械があるので、全体を俯瞰できるようまとめ方にも工夫を凝らす必要があります。簡単にはできそうにありませんが、まとめたいという気持ちはあります。
☆実現できるといいですね。毎日のタスクがある中で時間を捻出するのは難しいかもしれませんが、若手が技術を習得していくタイミングで、マニュアル制作という形でアウトプットできれば、技術の定着にもなりそうです。
堀口:若い世代の方にもぜひ参加してもらいたいと考えています。
☆渡邉さんや南場さんは課題を感じている部分はありますか?
渡邉:言おうとしていたこと、全部言われちゃいました(笑)。私も、堀口さんが仰っていた点が非常に重要だと思います。
また、「お客さんを不安にさせない努力」を鍛えたいです。極端な話、お客様から名前も知らない機械について相談や修繕依頼があっても、「不安を見せずに飛び込む勇気」が必要です。
第一報を受けて「その装置のことは分かりません」では、そこで話が終わってしまいます。不安を見せずに「ああ、その装置ですね」と話をつなげながら、最終的にはお客様に納得いただけるような説明や作業ができるようになる。 そのためには、知識だったり自信のある話し方だったりを、我々が率先して若手に見せていかないといけないと思っています。
現状まだまだできていませんが、見本になれるよう頑張っていきましょう!
南場:総務営業の窓口としても、お客様からの信頼を得られるようにもっと製造や機械について勉強しないといけませんね。
お客様からの問い合わせ電話を最初に受けるのは、私たちです。電話を受けてすぐに「誰々に替わります」ではなく、「こういったものが壊れたのですね、それでしたら…」と、ある程度会話のキャッチボールができれば、より信頼感が増すでしょう。
お客様に好かれることが一番の営業だと思いますので、総務営業ではより力を入れていきたいですね。 納品後に「いかがですか、その後どうですか?」とフォローアップすることで、「あのとき良くしてくれた」という記憶がお客様にインプットされれば、困ったときにはまた頼りにしていただけます。総務営業の電話口でもできることがまだまだあると思っています。
☆電話口の会話から信頼感を得ることも重要ですね。
本日は、若手の皆さんにとって励みになるようなお話を聞かせていただき、ありがとうございます。
また半年後くらいに改めて若手の成長や変化について伺えればと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。