【インバーター修理】 コンベアモーター

今回は、生産ラインに組み込まれている比較的大きなコンベア用モーターの回転数を制御しているインバータの修理です。

お客様より「朝コンベアのスイッチを入れても全く動かない。早急に修理してほしい」との連絡が入りました。

装置の調査

早速訪問して装置を拝見しました。
まずは手回しでモーターが回るか確認したところ、スムーズに回ります。
どうやら機械的な故障の可能性は低いようです。

次に、モーターに電気が来ているか確認いたしました。本来は工場用の電圧200Vが検出されるべきですが、まったく電圧がありません。
モーターへの配線をたどっていくとインバータに接続されていました。

インバータを調べると、動作ボタンを押していないにもかかわらずエラーランプがついており、普通ならあり得ない表示となっています。
また、どう操作しても電圧が発生しません。

そこで今回はインバータの突然の故障と判断し、新品を取り寄せました。

モーターについて

インバータはモーターの回転数の調整に用いる機械です。
今回はコンベアの速度調整のために使われています。

通常、家庭用コンセントや商業電源に接続される交流モーターは回転数が固定されます。

回転数を求める計算式は
【回転数(毎分)=120×周波数/モーター極数】
であらわされます。
最も多く使われているモーターの極数は4極です。

「関東仕様」と「関西仕様」

ところで昔の話ですが、回転する電化製品(洗濯機やレコードなど)には「関東仕様」「関西仕様」があったのはご存知でしょうか。

関東では周波数が50Hzのため【120×50/4=1500回転(毎分)】です。

関西では周波数が60Hzのため【120×60/4=1800回転(毎分)】です。

このように同じモーターでも周波数が異なれば、回転数が変わってしまいますので、そのあとの変速機構を調整して回転数を同じにしていたそうです。

インバータは通常50Hzか60Hzに固定されている周波数を30~120Hzに自由に変換する電気部品です。
これにより、ギヤユニットなどとは違って無段階に変速できるメリットがあり、多くの機器に組み込まれています。

ただし、経験則ではありますがある日突然故障してしまうことが多いようです。
電子回路には多いことだと思います。
よく「本当の寿命は何年?」と聞かれますが本当に千差万別でお答えできません。

修理に入らせていただいた会社様には、「インバータの設定値のメモを必ず控えておいてください」と申し上げます。

なぜなら、インバータは周波数の調整がメインの機構ですが、昨今細かい設定ができるようになり、およそ100種も設定項目があります。
ほとんどの場合、初期値の設定ですが、まれに複雑な設定がしてあるものもあります。

先ほどからお伝えしているように、ある日突然壊れる時が訪れますが、設定項目が呼び出せないことも十分あり得ます。

過去の事例

過去の事例ですが、複雑な設定がしてあるインバータが故障しました。
インバータの交換自体は半日程度で終わりましたが、故障したインバータから設定値が呼び出せず、他の装置と連動するための設定値が合っていないため、ライン全体が頻繁に停止するトラブルが発生しました。
試運転しながら、いつも機械を操作している方に話を聞き、他の機械の設定値も数日かけて調べ、ようやく復旧したことがありました。

そういったトラブルを防ぐために、スマホやPCのバックアップと同じ感覚でインバータの設定値は控えておいてください。

対応と修理

今回のインバータは幸いに特殊な設定もなく、交換してすぐに正常動作となりました。

これで安心です。

茂呂製作所は工場のお困りごと解決No.1を目指しております。
インバータの交換作業も対応できますので、お気軽にご連絡ください。

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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