【起毛機のメンテナンス】

私たちが生活や仕事で使用する機械は少しずつ古くなっていきます。
古くなった機械のメンテナンスやオーバーホールも、茂呂製作所が得意とする分野のうちの1つです。

依頼内容

今回はお客様より依頼のあったメンテナンス業務の案件をご紹介いたします。
以前からお付き合いのある繊維を扱う会社様より、起毛機のメンテナンス業務依頼をいただきました。
起毛機にもいろいろ種類がありますが、今回ご依頼いただいたのは「アザミ起毛機」というものになります。

今回のメンテナンス内容としては、以下の2点がメンテナンスに対するミッションになります。

①劣化した部品の製作と部品交換(機械全般のオーバーホール)

モーターやモーターの駆動を伝達するベルトなど、劣化や塗装の剥げなどが見受けられる部品の交換と全体的なオーバーホールが必要になります。
お客様が大事に機械をお使いになられていて機械の状態は悪くはないですが、消耗品の劣化は仕方ないことです。

②起毛機のブラシを回すモーターの制御

モーターは古い機械のためモーターとドラム部分がベルトで直結されていて、スイッチをいれればドラム部分が直ちに回転する仕組みになっており、スイッチを切るまで一定速度で回り続ける仕組みになっています。
安全性の面から考えてもモーターを制御できる構造に変更する必要があると思われます。

【マメ知識1:起毛機とは】

起毛機とは、織物や編物などの組織の表面から繊維をかき出して表面に毛羽を出すために使用する機械のことをいいます。
歴史は古く、アザミの実を使いその棘先で織物の表面を何回もこすって毛羽を立てていました。

近代でもアザミの実をドラムにはめ込んだ「アザミ起毛機」、起毛用針布を使用した「針布起毛機」、ナイロンブラシを使用した「ナイロンブラシ起毛機」などを使用しています。

モーター制御の検討

今回のメンテナンスでのお客様の要望として全体のオーバーホールはもちろんですが、モーターの制御が最大の課題になります。
お客様にとっての使いやすさ、操作性、安全性、そしてこれからも長くお使いなっていただけるよう考えながら検討していきます。
そこでモーターの制御を可能にする為にインバーターを設置することにしました。

【マメ知識2:インバーターとは】

一般的に家庭や工場などの電源は交流(電圧と周波数が一定のもの)です。
送られてくる電気の電圧と周波数は、場所や国などで違いがあることはご存じかと思います(例:200v/60hz・100v/60hzなど)。

交流の電圧や周波数は、交流のままでは自在に変えることはできません。
インバーターとは、交流の電気をいったん直流に変換し、再度交流に戻す際に電圧と周波数の大きさを自在に変えられるようにする装置のことで、一般家庭はもちろん、工場などでも数多く使われています。

モーターの回転速度は周波数によって制御することができますので、インバーターを使うことによって自在に回転速度を変化させられることになります。

作業開始

今回の作業は機械を弊社にお借りして工場での作業になります。
今回の劣化による交換は、下記の部品となります。

①モーターのvベルト
②ピローブロック4箇所(回転するドラム部分の軸をうけるユニット)
③ブラシ類

また、現状使用しているモーターは100vの単相モーターで、現状では回転の制御ができません。
インバーターで制御をするために200vの三相のモーターに交換します。

写真にはありませんが、機械自身のメインとなる電源スイッチを設置し、写真にある運転スイッチを入れることで回転する仕組みに仕様変更しました。
この改修により、電源を入れると同時にモーターが回るようなことはなくなり、安全性が高まりました。

また、つまみを操作することで、ブラシ部分の回転速度を0~2500回転の間で調整できるようになりました。

完成

完成

塗装も施し新品とはいきませんが、きれい仕上がりました。

今回のメンテナンスで安全性と操作性が向上し、お客様が使いやすくなったと思います。

茂呂製作所ではお客様の様々なニーズにお応えできるよう、またお客様の目線に立った提案をできるよう、これからも日々努力して参ります。

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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