【ワイヤー放電加工】SUS304製品
まず、完成したワークはこちらになります。
今回はこの形状のワークをワイヤー放電加工機で加工しましたのでレポートします。
材質: SUS304
サイズ:Φ500mm/厚さ14mm
ポイントは形状です。
ベースとなるのは円形のステンレスで、何重かの溝を抜いていく必要があります。
まずは加工方法の検討です。
精度を求められる場合にはフライスでの加工を選択しますが、今回のご要望は、面精度は求められてはいません。
また、これだけ大きなワークを加工する場合、フライスでは「固定しにくい」「歪みやすい」というデメリットがあります。
そこで、今回はワイヤー放電加工機を選択しました。
通常、これだけ大きなワークは支柱を立てて固定しますが、支柱を立ててしまうと下のアームの動きでなぎ倒してしまいます。
そこで、フラットバーで4方向を固定して加工する方法を採用しました。
そして、重要なポイントは加工順序。
何重にも溝を抜いていく中で、順序としては内側から加工していきます。
理由は、歪みの防止。
溝を全て抜いてしまうと内側と外側が離れてしまうので、ほんの少し内側と外側を切り離さないための接合部分を残すのですが、外側から加工すると内側に残る部分が重い状態になってしまうため、歪みが発生しやすくなります。
そこで、内側から加工していき、できるだけ軽い状態にしておきたいという理由です。
1分間に40mm程度の速度で加工していきます。
これだけ大掛かりなワークですので、仕上がるまでに5日間程度かかりました。
歪みや変形も起こらず、無事完成です。
今回の材料であるステンレスはワイヤー放電加工機と相性がいいです。
炭化タングステンやハイス(高速度鋼)などの固い素材もワイヤー放電で加工されることが多く、そもそもこれらは切削加工はできません。
これらの素材を加工する際はワイヤー放電加工を選択します。
ですが、電気を通す素材であればなんでも加工することは可能です。
薄くて弱い材料を加工する場合、硬い板材で挟んで加工することで実現可能です。
デザインをいただいて、茂呂製作所でCADデータに変換し加工することも承っています。
その際は、切り絵のようにひとつながりになっていることが望ましいです。
つながっている部分があまりに細いと難しくなります。
小さいものも加工可能で、最近は金属を使った表札を使っている光景を目にしますが、これらもワイヤー放電で加工することができます。
茂呂製作所は切削加工を得意としていますが、ワイヤー加工も可能です。
通常、ワイヤー加工は専門業者様に依頼されることが多いと思いますが、ぜひお気軽にご相談ください。
BYメンテマン