旋盤とマシニングの複合加工

当社の金属加工は旋盤加工からスタートしました。
過去ブログでも取り上げたように、旋盤加工は材料を回転させ刃物を押し当てて材料を円筒に削っていく加工方法です。
詳しくは「切削加工用治具、取付具について(旋盤編)」をご覧いただけると幸いです。

茂呂製作所スタッフが旋盤加工を行っている様子の写真です。
旋盤加工で製作された加工品の一例です。金属の中心に大きな穴が空いている円筒形となります。

写真の様に、円筒形状だけで終わる製品も当然あります。
しかしながら、90%以上の製品は旋盤加工後に穴をあけたり一部を切り欠いたりという加工が必要となってきます。

旋盤加工された円筒形の金属にマシニング加工が追加された一例の写真です。中心の円の周囲に小さな穴が等間隔で空けられています。

当然、旋盤では円筒形状以外加工できないのでフライス盤やマシニングなどで加工を行います。
この様な加工は複数の機械を使って製作することから「複合加工」と言われます。

マシニングセンターによるマシニング加工の様子の写真です。

写真の様に、旋盤で仕上げたものをマシニングに固定した上で旋盤ではできない加工を行いますが、最近旋盤工程を有する会社が減ってきています。
生産する際にスケジュール調整が大変で、マシニング加工だけに特化している会社様も多いとお聞きします。

一つの製品で考えますと、まずは旋盤が加工を終え、その後マシニングが納期までに加工を行うことで初めて製品になります。
最初が必ず旋盤とは限らず、マシニングの後に旋盤という製品も当然出てまいります。

当社の様に1個から10個程度の数量の加工を主に行っていますと、このスケジュール管理が意外と大変となります。

各加工機の稼働状況も異なり、理想は旋盤工程とマシニング行程がほぼ同じタイミングでスタートすればよいのですが、中々そうもいきません。
特にマシニングはマシニングだけで加工が完結する製品もあり、本当に稼働状況はその日その日で異なっております。

さらに言うと、例えば旋盤が1個あたり3時間、マシニングは1個あたり5時間の加工時間が必要な部品を10個作ると、両者の作業時間は30時間と50時間となります。
タイミングを合わせて加工をスタートしても、最終的には大幅な時間のずれが生じます。

そのことから、旋盤の業務量がマシニングに対して追いつかない。
もしくはその逆の状態が発生しやすいです。
このように、少量生産の多品種の複合加工品を扱うということは、加工技術だけでなく生産管理能力が求められるということになります。

複合加工の一例の写真です。中心の穴の周囲に、大小さまざまな穴が空き、溝が彫られている複雑な形状の製品です。

茂呂製作所は旋盤からスタートした会社ですので、旋盤加工を重要に捉えております。
同じ社内に旋盤とマシニングがあり複数の機械を取り扱える加工技術者同士が気軽に相談し合って、柔軟にスケジュールに対応していく事で、お客様の納期要求に対応させていただいております。

更に、需要が増している円筒形状の複合加工に対して今以上に対応すべく、旋盤とマシニングが一体となった複合加工機を2020年2月より導入致します。

今までの加工では、旋盤で固定して加工したワークをマシニングに再度固定した際に、位置がごくわずかにずれたり、固定する場所が変わることによって極々わずかですが変形によるずれが発生したりする場合がございました。

複合旋盤は、旋盤工程とマシニング行程を1台で行えます。
また、特徴として旋盤工程とマシニング行程はワークを同じ固定(チャック)で加工することができます。
固定作業が一回で終わるワンチャック加工となるため、従来の旋盤1チャック、マシニング1チャック、合計2チャックでの固定で発生していた、固定し直しや変形によるの位置ずれがなくなります。
これにより高精度な加工が可能となります。

茂呂製作所が導入する複合加工機の写真です。

複合旋盤の導入により、さらに多くのお客様のお役に立てるよういたします。

複合旋盤はとてもメリットがあるものですが、茂呂製作所では複合旋盤でも対応できない加工のご要望にも従来通り対応いたします。

例えば、旋盤→溶接→旋盤→マシニングなどの切削以外の工程が入ったものや、軸の両端面にマシニング加工が必要なものなど、ワンチャックでは対応できない加工も多く存在します。
単品加工専門会社としての実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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