古いPLC(シーケンサ)の交換作業

昔の代表的なPLC(シーケンサ)の写真です

過去に何度か記事にしておりますPLC(Programmable Logic Controller・プログラマブル ロジック コントローラ))別名シーケンサですが、冬になるとトラブルになる傾向があるようで、よくご相談をいただきます。
そのため、今回はPLC交換についてまとめたお話をさせていただきたいと思います。

昔の代表的なPLC(シーケンサ)の写真です

長期休暇後や寒くなった時のトラブル

PLCは機械装置の制御機器でありますので、内部には制御用のPLCプログラムが、その機械装置専用で組まれております。
PLCプログラムは、内部のメモリー回路に電気が供給されることで保持(記憶)されております。
PLCが起動しているときはメモリー保持用の電気はPLC動作電源から供給されております。
しかし、PLCに電気が供給されなくなると電気が供給されないため、プログラムが消えてしまいます。
それを防ぐためにプログラムのバックアップ用の電池が存在します。
電池は交換式の乾電池か充電式の専用バッテリーのいずれかが使われております。
問題は、どちらのバッテリーも寒さに弱いことです。
特に古くなってくるとその傾向は顕著です。
そのため、寒い時期にPLCの電源を切るとバックアップ電源であるバッテリーが十分な電力を供給できずに、プログラムが消えてしまうというトラブルが起こります。
そもそも、充電式バッテリーは古くなってくると電気容量が減るので、例えば休日の二日間は容量が足りていても、年末年始やお盆休みのような長い休みの場合は、容量が減ったバッテリーでは賄いきれずにプログラムが消えてしまうのです。

プログラムが消えてしまった場合

通常PLCはその機械装置ごとに専用のプログラムが作られています。
一般的にその場合プログラムを作った会社が、内容をプリントアウトしてお客様に渡す場合が多いです。
中にはCD-Rに電子データでプログラムを入れて渡してくれる所もあります。
このような場合、プログラムの再インストールのハードルはとても低くなります。

半面とても難しくなるのは、資料も何もなくプログラムした会社や担当者と連絡が取れない場合です。
こういった場合は再度プログラムを作り直すしかありません。
再度プログラムを作るためには電気担当者が「機械の構成」「配線の状況」「過去の動作状態」などをすべて把握していなければ作れないため、とてもハードルが高くなります。

調子が悪いので新しいPLCに交換したい

「機械が時々おかしな動きをするけれど、いつの間にか直ってしまう」という現象は、PLCの不調が疑われます。
そんな時にはPLCの交換をご検討ください。

PLCは市販品ですので、数年ごとにモデルチェンジされていきます。
最近は、PCとLANケーブルで連動させプログラムを入力することができる機種もありますし、入力ソフトもバージョンによって大きく変わることがありませんから、プログラムの通信はそれほど大変ではありません。
しかしながら、昔のPLCとプログラムの通信をするのは、一筋縄ではいきません。
まず、その機種専用の通信アダプターと通信ソフトが必要となってきます。
茂呂製作所は、キーエンスや三菱電機であれば昔の機種に対応する機材を保有しております。
ただし、今から30年ほど前のPLC創世期には多くのメーカーが参入しており、現在では生産やサービスを停止している企業も多くあります。
こういうメーカーのPLCを使用されている場合は、無理に過去のプログラムにこだわらずに現行のPLCにて新規にプログラムを作ることで対応させていただきます。

キーエンスや三菱電機などは比較的容易に交換できますが、メーカーに関わらず、交換できたから解決、とはいかないケースもあります。
処理能力が早くなることによって思わぬ動作不良が出る場合があるのです。
PLCからの信号の送りなどは早くなりますが、それを受け取る周辺機器の処理能力が追い付かないために発生する不具合です。
その際にはプログラムを調整して対応させていただきます。

最近のPLC(シーケンサ)の写真です

PLCの内部故障

よくあるPLCの故障に、たくさんある入力または出力の中で1か所のみ信号が入らない、もしくは出力されないということがあります。
この場合、プログラム上動作していてもテスターなどの電気測定器具で調べると、入力の場合電気が来ていても反応しない、出力の場合は出力ランプがついているのに出力がない場合が多いです。
長期間使用されていると内部の電子機器が部分的に破損して、特定の入出力のみおかしくなるのは、よく見られる症状です。
残念ながら、内部部品は入手不可ですので、同等品の新品PLCと交換になります。

 PLC内部の写真。カバーを外してあり基盤の上に複雑に配線されている様子が分かります。

トラブル回避のポイント

大きなトラブルにならないためのアドバイスとしては、2つだけで構いませんので心がけてください。

プログラムデータのバックアップ

まず、一つはプログラムデータのバックアップを保管してください。
具体的には装置購入時にデータの引き渡しをお願いする。
納入済の機械であれば装置製作会社に依頼してください。

バックアップバッテリーの交換

次にバックアップバッテリーを定期的に交換してください。
ほとんどのバッテリー交換時期は1年後です。
何か覚えやすい時期、例えば4月1日やお盆休み前の8月1日など決められると良いかもしれません。
ただし、充電式は充電時間が必要ですので交換した後、数時間は動作させていてください。
交換マニュアルは必ず確認してから作業してください。

バックアップバッテリーの写真。本体から外してあり、バックアップ用であることを表現しています。

茂呂製作所にご相談ください

以上の予防保全についても、茂呂製作所ではご協力ができます。
装置会社と連絡が取れないようでしたら、現在のPLCからプログラムのバックアップ作成にご協力いたします。
また、バッテリー交換作業も承っております。

予防保全でお客様のお困りごとがなくなれば幸いです。

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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